先日開催した名作を読もう会の『地獄変』の感想をまとめました!



宮守遥綺
三度目の正直で、一気に芥川龍之介の世界に突き落としてくれた作品。この作品を読んで以降、芥川龍之介作品の魔力に取り憑かれてしまいました。
文章の美しさ、読みやすさ、そして話の面白さ。すべてが揃った完璧な作品(私見)。
絵仏師・良秀の行き過ぎた芸術へのこだわりと、そのこだわりが殺した2人の人間。
「『地獄変』の良秀の姿は、芥川龍之介が『ありたかった姿』だ」とも言われていますが、だからこそ、後年のあの作風に繋がっていくのかなと。
この作品は、明快で話の筋が話の筋がわかりやすく、筋が面白いからこそ大衆文学に近い気がします。もちろん、文章は美しいのですが。
特に後半、良秀の目の前で娘が焼き殺される場面。第三者の視点を貫きながら、あそこまで切々と良秀の気持ちを描ききる技量は、さすが文豪。
こんな物語を書けるようになりたいですね……。



茜奏
言うなればこれは、見たものしか書けない天才絵師vs屏風に地獄変描いてほしい大殿様という構図が産んだ悲劇……!
いや、知ってたけど、つくづくおっそろしい話ですわ、
心優しい娘が焼き殺されているという構図で、大殿様はほくそ笑み、父親はただ眺める、では娘を気にかけたのはというと……娘の可愛がっていた猿のみ。まさしく地獄絵図。
このシーンにより、この登場人物が畜生以下だということを暗喩しているのだろうと考えました。
肝心の父親は、最後になって後悔し自殺してしまうわけですが、まさしく後悔後を立たずと言わんばかりのエンド。
優れた芸術作品を生み出すために罪のない人間が殺されるという、人間のエゴが非常に描かれた作品だと思います。猿は動物なので芸術が分からない分、人間味があるように感じるのは皮肉を感じます。



緯糸
今さっき読んだので、お二人の感想ですごく理解が深まりました。ストーリー自体の面白さに、鬼気迫るような描写。全てが揃ったと感じるのは宮守さんと一緒ですね。

あと、『天才絵師VS殿様の構図から生まれた悲劇』茜奏さんのでなるほど!っと思いました。
こういう、たった二人の歪んだ関係から行くとこまで行ってしまう作品は、僕の好物で、この作品が面白いって思った理由が分かりました!



芥川龍之介より
ノベリ隊の皆さん。
感想、ありがとうございます。
今作は『宇治拾遺物語』の「絵仏師良秀」を基に、私が独自に創作したもので、初出は1918年(大正7年)5月1日から22日まで『大阪毎日新聞』『東京日日新聞』に連載され、1919年(大正8年)1月15日に新潮社刊行の作品集『傀儡師』に収録されました。
主人公である良秀の「芸術の完成のためにはいかなる犠牲も厭わない」姿勢が、私の芸術至上主義と絡めて論じられることが多く、発表当時から高い評価を得させていただきました。こちらはWikiより引用でございます。